金沢市の繁華街(片町)にキャッシュレス「現代版屋台村」が12月オープン
「昔は、部下を飲みに連れて片町に行ったら、何件かをはしごして、締めは屋台でラーメンってのが定番。バブルの時は良かったよなぁ…。」
そんな昔を懐かしんでいるあなたは昭和のオ・ジ・サ・ンです(笑)
屋台。日本ではすっかり見なくなりましたよね〜。
食品営業許可、道路法に基づく道路占用許可、道路交通法に基づく道路使用許可など、法規が原因ですが、家賃や固定資産税を支払わずに一番良い位置に屋台を停め、客を奪っていくといった行為や衛生面を考えると致し方ないのかもしれません。
でも、アジアに行くと屋台は未だ健在。安い値段でいろんなものが食べられる。台湾では夜市で食べたほうが安くて美味しいので、「晩御飯は基本外食!」なんて家庭もあるほどです。
日本ではフードフェスという食のイベントとして屋台村が復活し賑わっている様子を見ると、常設の屋台復活を望む人は多いです。
そういったニーズからか、全国に屋台村や○○横丁といった業態が増え始め、今冬、とうとう金沢にもできることになったようです。喜んでいる人はきっと多いでしょう。
しかも、金沢と言えば観光地。インバウンドでの外国人観光客を意識して、キャッシュレスオンリーの屋台村にするとのこと。地元の人、 Are you Ready(笑)
キャッシュレス先進国と言えば中国。
「中国では屋台でも支払いは現金ではなく、スマホとQRコードを使ったキャッシュレス決済が当たり前」だというニュースを見るとビックリしますね。
中国ではアリペイ、ウィチャットペイが普及しているそうですが、日本でも様々なキャッスレスサービスが登場してきています。LINE Pay、楽天Pay、オリガミペイ、Amazon Pay、PayPay…など。ソフトバンクとYahoo!のペイペイはユニークなネーミングです。
これだけ条件が出揃えば、来年には金沢はキャッシュレス決済が当たり前の街になってるかもしれませんね!えっ、ホント?私、シャリーンもやったことないのに(笑)
ところで、
なんで中国でキャッシュレスが普及しているの?
理由は幾つかあります。
偽札が多い
クレジットカードが普及していない(作れない人が多い)
スマホが一気に普及した
ほほ〜。そんな事情があったわけね。
一方、日本はどうかというと、実はキャッシュレス先進国だったりするんです。だって、コンビニではいろんな電子マネーが使えるし、電車、バスに乗るときにもSUICAなど電子マネーで乗れちゃいますからね。首都圏では切符を買ってると田舎者だというのがバレバレ(笑)
おサイフケータイもスマホが登場する前からあるし、コンビニやスーパーのレジで「シャリーン」や「ワオン」って音を良く聞きますよね。
でも、電子マネーを使えるのは、全国区で展開しているお店ばかりで、小さな飲食店で使えるところはまだまだ少ないのが現状です。
では、なぜ小さいお店では電子マネーが利用できないんでしょう?
それは、決済手数料が高いからなんです。
電子マネーの決済手数料はクレジットカードと同様に3〜5%と言われています。しかも、「シャリーン」などの電子マネーを取り扱うには、おサイフ携帯専用の機器を購入する必要があるんです。さらに、売上は後日振り込まれることになるのでタイムラグが発生すること。お店にとっては何にも良いことがないので「今までどおり、現金オンリーでいいよ」って考える店主がほとんど。
じゃあ、なんで中国ではこんなに普及したんでしょう?
ズバリ、決済手数料が極端に安いからなんです。
アリババが運営しているアリペイの手数料はなんと0.1%!しかも、スマホアプリを使ったQRコード決済なので、専用の読み取り機を導入する必要がありません。お店側にとっては導入しない理由はありませんね。
一方、消費者側から見ると、日本の電子マネーとは異なる点があります。それはチャージの方法です。日本のモバイルSUICAにお金をチャージするにはクレジットカード経由かコンビニなどで現金でチャージをする必要がありますが、アリペイなどは銀行口座から直接チャージができるんです。クレジットカードの普及率が高くない中国では必要なことですね。
日本では、みずほ銀行のMIZUHO SUICAが銀行口座からのチャージが可能です。日本では銀行口座から即時引き落とされるデビットカードの普及が鍵となりそうですね。ただ、同じ買い物をするのでも、クレジットカードで買えば、引き落としは翌月末でなおかつポイントがつきますが、デビットカードでは即時引き落とされポイントもつかないケースがほとんどですから、消費者がクレジットカード決済を選ぶのは当然です。ただ、○○ペイと銀行との間にクレジットカードを挟むと、クレジット会社に対し誰かが決済手数料を負担する必要がありますので、決済手数料を下げてキャッシュレス決済を普及させるには銀行も検討せざるを得ないでしょう。
ここからが、重要なポイントです。
銀行口座からアリペイのスマホアプリにお金をチャージすると、そのお金はMMF(マネーリザーブファンド)のユエバオ(余额宝)に運用されるんです。中国の銀行の預金金利は約0.3%なのに対して、ユエバオの金利は4%以上だとか。
※日本ではマイナス金利の影響で日本円のMMFの販売は中止したままです。また、中国のMMFは欧米のMMFとは異なるようでリスク資産に対しても投資しているようです。
4%で運用されるのであれば、スマホアプリにチャージするのもわかりますよね。大量に集めた資金を運用し利ざやを稼ぐ。アリペイの決済手数料が0.1%の大きな理由の一つです。
ただ、7月に中国当局がユエバオなどに対してMMFの規制を強化したんです。利ざやで荒稼ぎしているのと、リスクマネーが膨張し崩壊するとリーマンショックの二の舞になりかねないからです。したがって、今後、決済手数料が上昇するのは避けられないでしょう。先日、アリババの創業者のジャックマーが突然引退表明をしたことはこのあたりのことも関係しているのかもしれませんね。
もう一点、キャッシュレス社会に金鉱脈があるんです。
アリペイは、集めた決済データをAIを使って分析することで、個人の信用を可視化しているんです。日本ではクレジットカードを作ったり、ローンを借りる際に、与信調査という審査が行われます。個人の与信については、まずは、個人信用情報機関のデータを参照するようですが、日々、現金で買い物しているような情報は把握することができません。しかし、キャッシュレス決済であれば全て把握することができます。日常生活におけるお金の流れを把握してしまえば、借り入れの申請があったら瞬時に審査を行うことができます。
アリペイの利用データで個人の信用が可視化(スコアリング)されると、そのスコアに応じて提供されるサービスが異なる時代が来ると言われています。具体的には、スコアが低いと、空港のラウンジのような場所には入れない、アパートを借りれなかったり、就職・転職に影響を与えるなど、様々なところで影響が出そうです。中国人は自己中心的でマナーが悪いといった印象がありますが、都市部ではパーソナルスコアを上げるために、自己中心的から利他主義的な行動を取る人が増えているとか。
また、先日、USJが入場料を季節に応じて変動させると発表しましたが、パーソナルスコアを使った、ダイナミックプライシングがネットから始まるかもしれませんね。具体的にはスコアの高いAさんとスコアの低いBさんでは同じ商品でも価格が異なるなど。
「JAPAN IS No.1」は過去の話?今度は日本が真似る番?
中国が先行してキャッシュレス社会の仕組みを構築してくれたので、日本は真似をするだけなのですが、既に乱立状態。淘汰されるのを待つしか無いのかもしれませんが、ユーザーの利便性を念頭に入れつつ国家戦略として取り組んでほしいものです。
1万円札を廃止するとキャッシュレスが一気に普及する?
高齢者はスマホを扱えないなど、高齢化社会を理由にキャッシュレス化に反対する人も少なくはありません。しかし、決してやり方が無いわけではありません。例えば、過去に何度も話題に出ている高額紙幣の廃止。1万円札と5千円札を廃止にしてしまえば、現金主義でいつも財布に100万円を入れていた人は、財布の厚みが10倍になるわけですから、財布に入れる現金を10万円に減らすか、キャッシュレスにするしかないわけです。そうなると、一気に普及しそうですね。
現金の流通量が減ればお金の支払や出納管理にかかるコストが削減されるだけではなく、銀行の窓口業務や、ATMの数も減らせるなど、国全体では大きなコスト削減効果があり、働き改革という点でも、是非、やって欲しいところですね。でも、実は高額紙幣が廃止になると困る人が大勢いるんです。
それはお金持ち。マイナンバーが導入されたり、相続税改正で基礎控除が下がったりしたことで、利息がつかない銀行にお金を預けずにタンス預金をする人が増えているのです。その影響で金庫が売れているとか。ところが、1万円札や5千円札が廃止になると、お家の金庫の大きさも10倍になってしまうので、これは大騒ぎになりそうですね(笑)
えっ?2千円札があるから10倍じゃなくて5倍?(笑)
確かに!2千円札の存在を忘れてました!
そういえば、私の大先輩にいつも財布の中に2千円札を入れている人がいます。
ということで、金沢市の繁華街(片町)にオープンするキャッシュレス「現代版屋台村」が、次の社会づくりに向けて、どんな2次、3次的効果を与えるか、楽しみですね!
【参考リンク】
筆者プロフィール
山崎ジョー吉
複数の企業に所属、あるいは契約をして働くポートフォリオワーカーとして働きつつ、地方での未来の働き方を発明する「金沢発!働き方の未来研究所」を立ち上げ、所長に就任し、地方における働き方改革の推進と啓蒙活動を行っている。
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