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社員は価値、そのもの。 ~3つのバリュー経営~

ご存知、喜多ハウジングの喜多計世会長のお話を、ふたたび拝聴させていただきまいたので、その感動のおすそわけをさせて頂きます。

喜多会長からは、わたしが最も敬愛する経営者のひとりで、大師匠である伊那食品工業の塚越会長から感じるものと、とても近い波動を感じます。社員を愛する慈愛の眼差しと、修羅場をくぐってきた本物の経営者の凄みが同居しています。

今回は、喜多会長が失敗から学んだ、数々の体験談をお話しいただきました。

とても感じ入るのは、素直に自分の失敗を受け入れて、反省し、時には社員に土下座して謝る。こんなことができる経営者は、この時代にはそう残ってはいないのではないかと思います。

喜多会長は、3回中1回は失敗するように言うそうです。それは、「失敗した」ということを、「挑戦」したと、捉えるからです。「ノープレイ、ノーエラー」ですね。何も新しいことに挑戦しなければ、そりゃまあ、失敗はしませんね。でもそれでは、人も組織も成長しません。人と組織は、失敗から学ぶんです。そういった、失敗(挑戦)を褒める風土は、トップが造らなければ出来ません。

そういった組織風土の中で、喜多会長が失敗から学んだ、本物の智慧を、ご教授頂きました。

ここ、メモっといてね。と、喜多会長が前置きされてお話された内容です…笑。

喜多ハウジングの経営の本質は、『王道の経営を軸に、その周辺のバリュー経営で成り立つ』とのことです。

周辺のバリュー経営とは、使命感経営、コアコンピタンス経営、年輪経営です。

使命感経営とは、なんのために会社があるのか、その価値観に全社員がベクトルを合わせた経営を行うこと。そのため、社員の価値観教育が極めて重要である。

そして、なのために会社があるのかの問いを、もう一段煎じ詰めた問い、すなわち「人間は何のために生まれてきたのか?」に対する喜多会長が到達した答えは、「人の役に立って、人がしあわせになって、そして自分もしあわせになる」ことです。

その哲学から得られる喜多ハウジングの社員教育の目的は、「お客さまの役に立って、自分もしあわせになり、社会の人たちをしあわせにする」です。

ちなみに、使命とは、命の使い方のことです。会社の命の使い方が、自分(社員)と社会の両方をしあわせにすること、という意味です。素晴らしいですね、喜多ハウジング。

コアコンピタンス経営とは、他社が容易に模倣できない固有の経営資源(特に技術)を持って差別化された経営をおこなうという意味です。喜多ハウジングのコアコンピタンスは、全国リフォームコンクールで32年間連続受賞しているということです。そしてそれを支えるための人材教育のシステムが「他社が容易に真似できない固有の経営資源」です。

人材教育にはプロセスが必要であると、喜多会長は言います。

経営理念、経営ビジョン、経営方針、経営計画、そして5W2Hによる社員一人ひとりへの落とし込み。これらがプロセスとして存在して初めて人を育てることが出来る。そしてそれがマネジメントそのものである、と。喜多会長にとって、マネジメントが出来るというのは、人を育てることが出来るというのと同意語のようです。

なるほど、人材教育のプロセスが、コアコンピタンスならば、それは容易に真似は出来ないと思います。

そして、年輪経営です。これは、伊那食品工業の塚越会長が好んで使われる言葉です。

伊那食品工業の経営目的は、社員のしあわせです。社員のしあわせを実現させ続けることが出来れば、その残り(利益)は、うんちみたいなもの。という考え方です。そして社員が幸福感を感じるに足る毎年の昇給が実現できればそれで良いのです。だから無理な投資を行い会社を急成長させ、会社にひずみを残すような経営はやらないんです。身の丈に合った緩やかな成長を永遠に続ける、まるで木が年輪を刻むような成長を良しとする経営です。

会社の目的が、利益じゃないんですね。社員のしあわせなんです。

勿論、利益は条件として必要なんですが、あくまでも条件(あるいは手段)なんです。

これは、先の使命感経営の考え方と、合致しますね。素晴らしいです。

積極的な守りの経営、とても面白い表現ですね。こんなお話もされていました。

会社が辛い時、積極的に元気を示す必要がある。

赤字の時にこそ、会社の外見のための改修を行ったり、取引先に対しては支払い条件を今より良くしたり、社員に対しては退職金の前払いなどを、積極的に行った。それがステークホルダーへの信用・信頼に結びつき、業績が回復して行った。

失敗をリカバーするための積極的な守りの経営を行うためには、幾ばくかの内部留保も必要。辛い時期だからこそ、明るい行動が必要な時もある。そのためには先立つものも必要。

組織のパフォーマンスを最大にするには、ベクトル合わせが極めて重要。

社員10人の中で、2人ベクトルが合っていない場合、10-2=8 ではない。6や5にまで下がってしまう。

ブルーの中にピンクが混じってしまうと、ベクトル合わせに大変な労力が必要。

ピンクを変えるには、一旦、白に戻してから、ブルーにしなければならない。薄い色なら良いが、濃い色だとなかなか白に戻せない。時と場合によっては泣いて馬謖を切ることも必要だと、稲盛さんから教わった、とおっしゃっていました。

◎こころ響いた言葉たち

・ 観念からの離脱、ありのままの自分を取り戻せ

・ 5月15日は、自分が生まれ変わった日。ありのままの自分を取り戻した日

・ 慢心は社員に伝染する

・ してやってる心では、社員はついて来ない

・ まかしてまかさずの極意、すなはち臨機応変に補う

・ 差別化ではなく独自化

・ 希望があるから勇気が出る

・ まっすぐ? 基準はなんだ?

・ 報連相は、発信元に責任

受ける側はどう解釈しようと自由

発信側が相手の解釈に責任を持つ

・人をみるのは5人まで、10人いける人はよほどの人

さて、これはドラッガー博士が、『未来への決断』のなかで、書いた言葉です。

人はコストではなく資源である

私は、ドラッガー博士のこの言葉は、さらに、続きがあるように思います。

人は、『投資すべき対象』であり、 その教育投資の成果は、 バランスシート上には現れないが、 会社にとっての最大の『価値』である。

人は、価値そのものである

もう一つ、魂が震えるような言葉を紹介します。

これは、石川県の松本機械工業の松本要社長の言葉です。

会社は、全社員の人生の品質(価値)を高めるためにある

喜多ハウジングの喜多会長然り、

伊那食品工業の塚越会長然り、

松下幸之助さん然り、

会社とは、 人物をつくり、その人生の価値を向上させるために

あるのかもしれませんね。

そして、 喜多ハウジングの人材育成プロセスは、 それを実現するためのひとつの手段なんですね。

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