働き方の未来研究所

2040年の働き方ってどうなるの? データで読み解く「キャリア自律」入門

導入:未来のキャリア、どう描く?

「2040年、私たちはどんな風に働いているんだろう?」
「これからの社会で、自分はどんなキャリアを歩んでいけばいいんだろう?」

こんにちは!大学でキャリア相談に乗っているアドバイザーです。最近、多くの学生さんや若手社会人の方とお話ししていると、未来の働き方に対して、期待と同時に漠然とした不安を抱えている人が多いなと感じます。

あなたも、そう感じたことはありませんか?

この記事は、そんな皆さんのために書きました。リクルートマネジメントソリューションズが2024年9月に行った「2040年働き方イメージ調査」というデータをもとに、これから訪れる働き方の変化を読み解き、未来を自分らしく生き抜くための大切なキーワード、「キャリア自律」について、分かりやすく解説していきます。

一緒に未来のキャリアを描くヒントを見つけていきましょう!


1. 会社の”当たり前”が変わる? データが示す2040年の働き方

まず、未来の働き方がどう変わっていくのか、具体的なデータから見ていきましょう。調査結果からは、特に2つの大きな変化の兆しが見えてきます。

「転勤はしたくない」が当たり前に

「会社の命令なら転勤も仕方ない」という考え方は、もはや過去のものになりつつあります。調査では、「転勤したくない」と考える人が、20代で55.2%、女性全体では**57.8%**と、半数を超えていることが分かりました。

さらに、1998年の調査と比較すると、「会社都合の転勤はやむを得ない」と考える20代は**33.4%から19.8%**へと大きく減少しています。これは、「会社の命令には必ずしも従わない」という、個人の意思を尊重する価値観が広がっている証拠と言えるでしょう。

「テレワーク」が働き方の中心へ

働く場所の自由度も、多くの人が望んでいます。「テレワーク中心で働きたい」と希望する人は、特に20代 (53.2%) や女性 (50.1%) で高い割合を示しました。ライフスタイルに合わせて柔軟に働きたいというニーズが、今後ますます高まっていくことが予測されます。

これらのデータが示しているのは、非常に重要な変化です。それは、**「これまでの会社中心の働き方から、個人が自分の価値観やライフスタイルを重視する働き方へと、大きな潮目が変わろうとしている」**ということです。

では、こうした変化の時代に、私たちはどんな心構えでいればいいのでしょうか。実は、この不確実性が、多くの人を無意識のうちに陥らせる「ワナ」があるのです。


2. あなたも陥ってない? 未来への備え「ハリネズミ型キャリア」のワナ

未来の変化に備えようとするとき、あなたはどんな行動を思い浮かべますか? 「とりあえず貯金する」「健康に気をつける」…もちろん、それらはとても大切です。しかし、それ「だけ」の守りの姿勢が、思わぬワナにつながってしまうかもしれません。

パーソル総合研究所の小林祐児氏は、こうした傾向を「ハリネズミ的キャリア戦略」と名付けています。

ハリネズミは、危険を感じると針を立ててまん丸になりますよね。それと同じように、将来のリスクに対して「健康に気を配る」「貯金をする」といった防御的な備えに集中し、新しいスキルを学んだり、新しい人とつながったりといった挑戦的な行動を避けてしまう傾向のことです。

なぜ、私たちはハリネズミのようになってしまうのでしょうか。小林氏の分析によれば、現代社会では、かつてのような地域のつながりや会社との強固な結びつきが薄れる一方で、SNSなどを通じて他者と自分を比較する機会は無限に増えています。この**「つながらないのに、比べあう」状況**が、私たちを守りに入らせ、一人でできる備え(健康、貯金)に集中させてしまうのです。

一見すると堅実に見えるこの戦略ですが、変化の激しいこれからの時代においては、**「一人で身を守ることに特化し、協働や新しい挑戦には弱い」**という致命的な弱点を抱えています。防御に徹するあまり、自分を成長させる新しい学びの機会や、思わぬチャンスを運んできてくれる人との出会いを逃してしまう危険性があるのです。

この防御的な姿勢から抜け出し、未来を切り拓くための鍵、それが「キャリア自律」です。


3. 未来を自分で創る力、「キャリア自律」ってなんだろう?

「キャリア自律」と聞くと、少し難しく感じるかもしれませんね。簡単に言うと、「会社任せにせず、自分のキャリアを主体的に考え、築いていこうとする姿勢」のことです。ハリネズミのように殻に閉じこもるのではなく、自分から未来に向かって歩み出す力、と言い換えてもいいでしょう。

これは、主に次の3つの要素で成り立っています。

  • 自己理解: 自分がどんな仕事をやりたいのか、得意分野は何かを理解していること。
  • 未来展望(希望): これからのキャリアをより充実させたいと強く思い、未来は明るいと思えること。
  • キャリアの責任: キャリア形成は、会社任せではなく自分自身の責任であると考えること。

ここで、とても重要なポイントがあります。この3つのうち、人が「よし、キャリアのために新しいことを学んでみよう!」「行動しよう!」と思うようになるための真の原動力は何だと思いますか?

調査データが示している答えは、非常に興味深いものです。それは、キャリアへの「責任感」ではありませんでした。人を動かすのは、**「具体的な自己理解(自分はこれがやりたい!)」と、「明るい未来展望(きっとうまくいくはず!という希望)」**だったのです。

「〜しなければならない」という責任感からではなく、「〜したい!」という自分の内なる声と、「〜になれそう!」という未来への希望こそが、私たちを前進させてくれるエンジンになるのです。


4. 今日からできる!「キャリア自律」を高める2つのアクション

キャリア自律のエンジンである「希望」を見つけ、高めていくために。「ハリネズミ型」の戦略とは真逆の、今日から始められる具体的なアクションを2つ紹介します。

アクション1:「自分の物語」を見つける

「自分には特に希望なんてないかも…」と感じる人もいるかもしれません。でも、心配しないでください。東京大学の玄田有史教授は、『希望のつくり方』という本の中で、**「過去から現在までの自分なりの物語を丹念に考える」**ことで、未来へのヒントが見つかると述べています。

ハリネズミのようにただ守りに入るのではなく、自分の物語を振り返ることで、未来へ進むための「なぜ?」を見つけ出すのです。

ぜひ、少し時間のある時に、こんな質問を自分に問いかけてみてください。

  • 時間を忘れるほど没頭できたことは何ですか?
  • 「これは大変だったけど、乗り越えて成長できた」と胸を張って言える経験はありますか?
  • 誰かに「ありがとう」と心から感謝された時、あなたは何をしていましたか?

自分の経験を一つひとつ振り返る作業が、あなたが未来をどう生きたいかという「物語」の手がかりを与えてくれます。

アクション2:「ゆるやかなつながり」を持つ

「ハリネズミ的キャリア戦略」の最大の弱点は孤立です。だからこそ、この**「ゆるやかなつながり」**こそが、防御の殻を破り、新しいチャンスを引き寄せるための最も重要な戦略になります。

データを見ても、プライベートな人間関係に満足している人ほど、未来を明るいと感じる傾向にありました。大切なのは、いつも一緒にいる親友だけでなく、「いつも会うわけではないけれど、ゆるやかな信頼でつながった仲間」の存在です。

  • サークルやアルバイト先の先輩後輩
  • ゼミで時々話す友人
  • インターンシップで出会った他大学の仲間

こうした人々との何気ない会話が、自分だけでは気づかなかった新しい視点や、キャリアのヒントをもたらしてくれます。インターンで一緒だった人に「最近どう?」と連絡してみる。それくらいの小さな一歩が、未来を動かすきっかけになるのです。


5. まとめ:未来は「誰か」に決められるものじゃない

最後に、この記事のポイントを振り返ってみましょう。

  1. 会社のルールが絶対だった時代は終わり、個人の価値観が尊重される働き方へシフトしています。
  2. 守りに入るだけの「ハリネズミ型」ではなく、**「キャリア自律」(自己理解と希望)**を持って未来に備えましょう。
  3. キャリア自律は、自分の物語を考え、ゆるやかな人のつながりを持つことから始まります。

未来は予測不能ですが、だからこそ、自分で創っていく面白さがあります。正解は一つではありません。この記事が、あなた自身のキャリアという物語を描き始める、その第一歩となることを心から願っています。